三菱自動車が1月31日に発表した2019年4-12月期の連結業績は、四半期損益が118億円の赤字に転落した。4-12月期の四半期損益が赤字になるのは3期ぶり。前年同期は692億円の黒字で、損益が急激に悪化した。販売競争の激化、品質関連費用などの増加、為替差損に加え、海外子会社の税金支払い増加などが影響した。

期中の新車販売台数は、同2%減の87万6000台と前年を割り込んだ。主力のASEANをはじめ、豪州、欧州など、主要市場で前年を下回った。売上高は同7%減の1兆6669億円だった。

営業利益は同96%減の36億円と大幅減益となった。新車販売の落ち込みや競争激化による収益悪化で187億円、研究開発費や規制対応・品質関連費用の増加で368億円、ユーロや豪州ドルなどの変動で為替差損349億円といった減益効果があった。経常損益は27億円の赤字だった。

業績が大幅に悪化しているものの、通期業績見通しは前回予想を据え置いた。池谷光司副社長CFOは「全体環境は厳しいが在庫調整は進んできた。1-3月期に投入を控えている新型車のデリバリーをコントロールすることで、現在の見通しを達成したい」と述べた。同社は流通在庫の削減に取り組んでおり、2018年度末で7万台程度あったものを、3カ月分に当たる4万台弱にまで削減しており「適正レベルに近い水準」としている。

一方、世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大していることについて、感染源である中国にある生産拠点は、地方政府の要請に応じて2月2日まで春節の休暇を延長したほか、2月9日まで休暇の再延長を検討中。国内生産モデル用に中国から調達している部品については「注意するし、必要に応じて(代替調達などの)対策をとる」(池谷CFO)としている。業績への影響は「現時点で見通せない」としている。