アルミ大手のUACJは9月30日、米中貿易摩擦や中国の経済減速でIT・液晶半導体製造装置向けの需要が低迷して業績が悪化していることから、生産能力削減や従業員を2000人削減するなどの構造改革を実施すると発表した。

構造改革は、国内では生産集約による稼働率向上を図り、設備投資を拡大してきた海外では収益化を急ぐ。損益分岐点を引き下げ、不採算・ノンコア分野の売却・撤退を検討、稼ぐ力の向上を図る。

具体的には日光製造所を閉鎖して自動車熱交材の生産をUACJマーケティング&プロセッシングに集約する。深谷製造所の下工程を停止して、名古屋と福井の製造拠点にそれぞれ下工程を集約する。福井製造所の自動車材仕上げラインを活用して、製造所間の品種や工程分担を見直すなど、自動車材の生産性向上を図る。

鋼管事業を手がける子会社のUACJ鋼管の譲渡に伴う減少分も含めてグループ人員を2019年3月末の1万3000人から2022年度までに2000人削減して1万1000人規模にする。

注力事業の一つである「自動車」向けでは、環境規制の強化で自動車の軽量化や電動化が加速、特に北米でアルミ化が進むと見ており、大型投資してきた生産設備をフル活用して収益の最大化を目指す。自動車向けは受注の基準について収益性を重視したものに見直すほか、高い収益が見込まれる日系自動車メーカーの新規受注開拓に力を入れる。

財務面では設備投資の削減で2022年度までに有利子負債を800億円以上削減する。

収益構造とマネジメントの両面で構造改革を進めて、早期のV字回復を目指すとしている。