レベル2を設定するスーパーグレード

量産モデルでもトラックの自動運転が加速する。三菱ふそうは今秋に市場投入する予定の大型トラック「スーパーグレード」で自動運転レベル2を実用化する。ボッシュ製の単眼カメラと、コンチネンタルのミリ波レーダー、電動モーター付油圧式パワーステアリングを使って、ステアリング操作を支援する。

カメラで車線を認識して車線中央部分を走行するようにステアリングを自動制御するアクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)を搭載する。ADAは60km/h以上で走行中、ドライバーが意図しない車線逸脱に対してもステアリング操作に介入して車線内に車両を戻す。ADAはドライバーがステアリングを持ち続ける必要があり、30秒以上の手放しで警告し、60秒以上の手放しで機能を自動で停止する。

また、衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト(ABA)」の機能も強化する。新世代のABA5は車載カメラとレーダーを使って車両前方の障害物検知の精度を向上するとともに、歩行者も検知できるようにする。さらに夜間走行中、車載カメラが前方の光を判断してロービームとハイビームを自動で切り替える「インテリジェント・ヘッドランプ・コントロール」や、車載カメラが標識を読み取ってメーターディスプレイに表示する機能を搭載。運転支援に車載カメラをフル活用する。

三菱ふそうは、これら先進運転支援機能を、親会社であるダイムラーと共通化しており、センサーなども同じものを採用している。新型車の価格は公表していないものの、価格は大幅に上昇する見込みだが、部品共通化によって先進技術の採用に伴うコストアップをなるべく抑えて、自動運転機能の普及を図る方針だ。

自動運転は最新のセンサーや制御システムを搭載することから価格の上昇が避けられない。ただ、ドライバー不足による経営危機が現実の問題として迫っている「働く車」なら車両価格が上昇しても、人件費の削減、稼働率アップ、生産性の向上が見込まれることから、受け入れられる余地は大きい。タクシーの自動運転サービスの実用化を目指しているDeNAの中島宏執行役員・オートモーティブ事業本部長は「法制度は別にして、事業用車両を完全自動運転にできれば、車両代金が大幅に上昇したとしても人件費を吸収できる」と見ている。自動車メーカー各社も事業用自動車向けの自動運転の開発を加速している。自動運転システムを搭載した事業用車両の普及は早いかもしれない。