JTBは、公共交通機関が未整備の地方で、高齢者向け移動サービスを提供するため、群馬県明和町で定額乗り放題タクシーサービスの実証実験を期間限定で実施すると発表した。高齢者が外出するきっかけとすることを目指す。

定額タクシーは、商店街やスーパー、かかりつけの病院最寄り駅などから、あらかじめ2カ所を登録し、1カ月間のうち7日間が乗り放題となる。JTBのグループ会社であるJTBガイアレックが設定する募集型企画旅行商品「JTBジェロンタクシー」として利用者に提供することで、前払方式による日数制定額サービスを提供する。

実験には明和町社会福祉協議会(立木留吉会長)とともに、2019年8月1日から2020年2月29日まで実施する。対象は群馬県明和町在住の70歳以上の高齢者。低額なサービスを実現するため、利用日数を限定するとともに、明和町社会福祉協議会が代金の一部を助成、毎月9600円から利用可能とする。

群馬県によると、同県は人口1人当たりの自動車保有台数が全国1位(2018年3月末現在)で、明和町でも自動車が主な移動手段となっていることからタクシー利用は少ない。高齢者による交通事故が社会問題化している中で、免許返納後の、移動手段の確保が課題となっている地域がある。JTBは明和町社会福祉協議会と協力し、タクシーを利用した高齢者の移動支援サービスの事業化を検証する。

定額乗り放題の「JTBジェロンタクシー」は2015年に福岡・北九州、2018年には長野県諏訪市で実証実験を進めてきた。高齢者の免許証返納後の「日常の足」、「高齢者が外出するきっかけ」になることを目指して、地域での定着、近隣への拡大を図る方針だ。