三菱自動車が7月24日発表した2019年4-6月期(第1四半期)の連結業績は、在庫調整や労務費の増加の影響などから営業利益が前年同期比86.3%減の39億円と、大幅減益となった。営業減益は3期ぶりで、同社の池谷光司副社長・CFOは「世界的な全需の伸び悩みや円高もあって厳しい結果になった」と述べた。
期中の新車販売(小売り)台数は、北米がマイナスとなったものの、主力のASEANや日本、欧州で伸びたことから、同2%増の29万8000台と小幅ながら前年を上回った。
売上高は在庫圧縮のため、出荷台数を抑えたことから、同4.3%減の5362億円と3期ぶりの減収となった。同社は販売台数規模の拡大より収益を重視する「スモール・バット・ビューティフル」戦略を展開しており、インセンティブ(販売奨励金)競争が激化している北米でも「収益に集中」(グプタ・アシュワニCOO)した。
営業利益の増減要因は卸台数の減少やモデルミックスの悪化で39億円、研究開発費の増加で39億円、間接員労務費・一般経費で41億円などの減益効果があった。燃費不正事件で国内新車販売が低迷してから3年が経過し、アフターサービス向け車検の部品販売が落ち込むなどの減益要因もあった。経常損益は14億円の赤字と、第1四半期として10期ぶりの赤字。当期利益は同67%減の93億円だった。
4-6月期の業績は大幅悪化したものの、通期業績見通しは前回予想を据え置いた。在庫圧縮を優先して収益を重視したのに加え、ASEAN、日本、欧州のPHV(プラグインハイブリッド車)市場、南米での販売は今後も堅調に推移すると予想。「世界の影響は不透明だが、ASEANをドライバーに年後半に計画に沿って売り上げを回復させる」(池谷副社長CFO)意向。
特に「エクスパンダー」のSUV色を強めた派生モデルを2019年度中に市場投入するほか、「エクリプスクロス」をアジア、アフリカの10カ国で新たに投入するなど、商品ラインナップを拡充する。このため「Q2(第2四半期)からQ4(第4四半期)に成果がでてくる」(グプタCOO)と、業績回復に自信を示した。