自動運転の活用方法は、地域によって大きく異なることが予想される。このため、観光地、地方都市、都市郊外、都心部、地方中山間・島嶼部の5つの地域区分に分けて、変化を議論する。岸教授は、自動運転の普及で「人口30万人程度で衣・食・住が完結する生活しやすい環境が整う。地方都市で人間らしい生活ができる可能性がある」と予想する。また、移動が楽になる自動運転によって観光のニーズが増加し、メガ観光地が創出されると予想。「自動運転が地域や経済に与えるインパクトは大きく、自動運転のメリットを最大限得るための環境整備は自動車メーカーなどの供給者目線では足りない」(岸教授)と指摘する。

懇談会では、自動運転のメリットを享受するためには、レンタカーとカーシェア事業の運営と利用両方のハードルを下げることや、メガ観光都市に向けた受け入れ体制の環境整備、ニューエコノミック形成に向けたオフィスや産業の積極的な誘致、交通要素に対応した道路環境整備などを提言する方針だ。

岸教授は「世界一高齢化が進んでいる日本で、自動運転を活用したモビリティサービスを実現することは新しいビジネスモデルを(今後高齢化が進む)世界各地に提示することにもつながるはず」としている。

懇談会では今後、地域住民などに対するアンケートなども実施して今秋にとりまとめる予定だ。