腕は目より上に上がらない―。実際には、そんなことはないだろうと思うものの、敬愛する陶芸家の言葉だけに耳に残っている。彼は若いとき、当時から注目を集めていた兄を手伝いながら自身の技術を磨いた。ただじっと、兄の仕事を見続けることで◆そして晩年、彼は名匠と称されるまでになった。兄の背中を見るだけでなく、あらゆるものをよく観察して芸術家としての感性を磨い…