俳人・中村草田男が〈降る雪や/明治は遠く/なりにけり〉と詠んだのは昭和6年(1931年)。彼は東京帝国大学の学生だった◆意外にも、明治から大正へと元号が変わってから、僅か18年と半年ほどが経っただけ。この年の秋には満州事変が勃発、日本は急速にあの戦争へと向かっていく。18年半の年月を遠いと表現した草田男には、そんな激動の予感があったかもしれない◆…