マツダは23日、車両開発の効率化やコスト削減に向けて日本製鉄との連携を強化すると発表した。新車開発の初期段階から車体骨格構造や適切な部材を共同で検討する。成果の第1弾となる新型「CX―5」では、鋼材の重量を先代から10%減らせたという。目標とする2027年までの1千億円規模の原価低減や、次世代車の部品点数削減などにつなげていく。

 従来は車体や足回りなど、部材ごとに鋼材を個別発注していたが、新車のデザイン段階から日鉄と要求性能や用いる鋼材を話し合って決める。日本の自動車メーカーでは初の取り組みだという。新型CX―5では車体全体の構造を最適化することで補強部材を減らし、軽くした。一般にアルミが使われる衝撃吸収部品(レインフォースメント)もマツダの設計技術と日鉄の知見を生かして鋼材に切り替えながら、重量は同等とした。

 日鉄にとっても、出荷数が少ない鋼板の使用を避け、全国の製鉄所のうち最適な拠点から製造・出荷できるといった利点が考えられる。マツダはこれまで、競合と相見積もりを取って調達先を決めていたが、原材料価格や労務費の高騰により、コスト削減効果が薄れていた。マツダの鷲見和彦常務執行役員は「一緒に作るほうが大きなコストメリットが得られる」と説明した。輸送コストや二酸化炭素(CO2)排出の削減も見込む。

 マツダはサプライヤーと連携し、開発から調達、生産の効率を高める「共創活動」を強化している。広島県周辺の地場サプライヤーとは、開発機能の一部移管や、生産性改善を手助けする活動にも取り組む。25~27年までの3年間で1千億円規模の原価低減を狙う。

 鷲見常務執行役員は「モデルを問わず、長く取引先と技術を作り上げて現有資産を最大化することで『無理・ムラ・無駄』を削減できる」と活動の意義を語った。