スバルの米国法人は、電気自動車(EV)「ソルテラ」を大幅改良し、今秋に発売すると正式発表した。電池容量を増やし、1充電当たりの航続可能距離も延ばしつつ、最廉価モデルの価格は改良前の3万8495ドル(約570万円)を維持した。環境規制やEVへの優遇策が見直される米国の販売動向が注目される。
改良モデルの投入は、4月のニューヨークモーターショーで予告していた。電池容量を約2キロワット時増やした74.7キロワット時のリチウムイオン電池を搭載。全輪駆動ながら、1回の充電で最大288マイル(約463キロメートル)を走行できる。充電はテスラのNACS規格に対応する。4グレード展開で、上位モデルでは最高出力338馬力を発揮する。内外装も一新した。
スバルは2026年末までに4車種のEVをトヨタ自動車と組んで投入し、28年には自社開発車を含めて8車種へ増やす計画だが、大崎篤社長は8月の決算説明会で「この先、どうするかは検討している最中だ」と見直しの可能性に言及している。30年に世界販売の半数(60万台)をEVとする計画は「30年以降」へとすでに先送りした。
計画見直しの背景には、トランプ米政権の環境規制の見直しがある。7月に成立した「0BBB法」では、EVの新車購入に対する最大7500ドル(約110万円)の税額控除は9月末で打ち切られ、企業平均燃費基準(CAFE)未達時の罰金も撤廃された。こうした規制見直しを受け、国内外の自動車メーカーはEV戦略の見直しを急いでいる。
スバルの北米向けEVは日本から輸出されており、追加関税の影響も無視できない。ただ、発表済みのEV「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」の2車種は今のところ、26年の発売を予定する。