自動車リサイクル分野では、廃車由来プラスチックを自動車部品に戻す水平リサイクルや、他分野に展開する動きが広がっている。ただし、異物混入や経年劣化による品質のばらつきが大きく、安定供給には依然として課題が多い。  アミタホールディングスは、こうした課題に向き合いながら、サーキュラーエコノミーのコンサルティング事業を通じて解決策を提案している。

 同社は豊田メタルと連携し、自動車破砕工程で発生するプラスチックの品質向上に取り組んでいる。破砕残さにはガラスくずが混入し、再生材の品質や価格を安定させる上で障害となっていた。パートナー企業と組み、ガラス除去や混練の工程を導入。さらに行政調整や契約スキームの設計、運用体制の整備まで支援した。再生材の売却価格改善やリサイクル率向上が確認されており、廃車由来資源の高度利用を具体化した事例として注目されている。

 また、自治体との協働にも注力している。神戸市は2021年からプラスチック特化型の資源回収ステーション「エコノバ」を展開し、25年には市内で50拠点を超える規模に拡大した。市民が自由に持ち込める仕組みに加え、回収資源の行き先を掲示する工夫で分別意識を高めている。ここで集められた生活由来プラスチックを、自動車部品に活用できるか検証している。

 同社が開発したデジタル基盤「PLA-NETJ」を使い、樹脂種や異物混入率、再生材の物性値を一元管理する。関係者間で情報を共有することで回収から再資源化までを可視化し、素材のばらつきを抑える。データに基づいた品質検証を進めることで、自動車部品への応用可能性を探っている。廃車由来資源で積み上げた知見をもとに、生活由来資源を自動車分野へ活かす挑戦の一つといえる。神戸市モデルは、内閣府SIP第3期「サーキュラーエコノミーシステムの構築」にも位置づけられている。リサイクル率の向上や再生材の高品質化といった数値目標を掲げ、生活由来資源を対象にした実証を積み重ねている。
 アミタの取り組みは、課題を直視しつつ改善策を積み重ねる姿勢を示すものであり、自動車リサイクルの深化と社会的展開を結びつける事例の一つとなっている。