日産自動車を主取引先とする部品・車体メーカーの2026年3月期業績見通しは、決算を公表した6社のうち、5社が減収を予想した。純利益は1社が増益、3社が黒字転換を見込む。もっとも〝トランプ関税〟や日産のリストラ策など、今期は〝視界不良〟の経営を迫られそうだ。
25年3月期は日産車体が新型車効果などで増収増益だったものの、5社が減収を強いられた。純損益ではユニプレスが210億円、ヨロズが134億円、アルファが3億円の赤字となり、パイオラックスも減益だった。
今期はユニプレス、ヨロズ、アルファが最終黒字への転換、ファルテックとパイオラックスは減益を予想する。河西工業は会計作業の遅れなどにより開示を延期している。
今期は、業績見通し策定の根拠となる生産台数が予想しにくい。メーカー別の売上げ構成比によって影響は異なるが「売上高はメーカー増産を見込むも為替影響により減収」(パイオラックス)、「売上高は顧客の生産・販売台数減、関税リスクにより減収」(ファルテック)など、見通しにはバラつきがある。減収ながら黒字転換を見込むアルファは、中国市場の構造変化や北米・東南アジア諸国連合(ASEAN)地域での減産などを理由に、27年3月期までの中期経営計画を売上高、営業利益とも下方修正した。
トランプ関税の影響について、パイオラックスの山田聡社長は「反映できていない」としつつ「(ばねなどの)当社製品は生産を現地化しやすい」との前提に立ち、業績影響は軽微と見通す。ファルテックの河井芳浩社長は「今期計画を作り始めたのは4、5カ月前。そのときから大きく変わったのが関税だ。シミュレーションは難しいが、第1四半期の状況を見ると、当初見通しよりも下振れしている」と語った。
日産が13日に示したリストラ策や商品計画も経営上の焦点になる。ある部品メーカーの幹部は「ここ数年は、以前に比べると価格見直しにも前向きに取り組んでもらっていた。(エスピノーサ新体制で)どうなるのか注意したい」と話す。さまざまな要因が錯綜する中、今期の舵取りは厳しいものとなりそうだ。