【上海=福井友則】中国・比亜迪(BYD)は、「上海モーターショー2025」で自社開発した水平対向エンジンを公開した。プラグインハイブリッド車(PHV)向けのエンジンで、電動駆動システム「eアクスル」と組み合わせた状態で展示した。直列やV型エンジンよりも全高を低く設計できるため、eアクスルと組み合わせてもボンネットの高さを抑えることが可能になる。
BYDの高級ブランド「仰望(ヤンワン)」のブースに展示した。同ブランドのセダン「U7」に採用する。
BYDが開発した水平対向エンジンは4気筒で、排気量は2リットル。展示したパワートレインはeアクスルの上に水平対向エンジンを重ねた二段重ねの弁当のような構造となっており、全高は従来の2リットルエンジンに比べて約22cm低い、約73cmとなる。セダンのU7に搭載することで、低重心化と空気抵抗の低減に寄与するという。
水平対向エンジンは、スバルとポルシェ、二輪車向けではBMWが採用している。1本のクランクシャフトを中心にシリンダーを左右に水平に配置するため、重心が低く、全長もコンパクトに設計することが可能だ。ピストンがお互いの振動を打ち消し合うことで振動も少ない。ボクシング選手が打ち合うような動きをすることから「ボクサーエンジン」とも呼ばれている。
嗜好性が高くスポーティなイメージが強い水平対向エンジンを中国メーカーが開発したこともあり、同ショーを訪れた日本の自動車メーカー関係者も強い関心を示していた。