【上海=福井友則】トヨタ自動車は、レクサスの新型「ES」に自社で開発する車載基本ソフト(OS)「アリーン」を初搭載する。車内のマルチメディア機能の一部で実装する。無線通信でソフトを更新するOTA(オーバー・ジ・エアー)でアップデートが容易となり、エンターテインメント関連の機能が強化される。また、複数の電動車展開が可能な「マルチパスウェイプラットフォーム」も初採用した。レクサスの次世代車の第一弾として知能化と電動化を進化させ、先行する新興メーカーに対抗する。
新型ESの開発を担当した千足浩平チーフエンジニアが日刊自動車新聞の取材に応じ、アリーンの一部を搭載していることを明らかにした。千足チーフエンジニアによるとアリーンを採用することで「(ソフトウエアが)開発しやすくなったり、クルマが出た後にアップデートしやすくなる」と話す。ESに搭載したアリーンはマルチメディアの機能のみをOSで動かす第1世代となり、車両の全機能を統括する第2世代は2026年以降の次世代EVに採用する計画だ。
また、新型ESはマルチパスウェイプラットフォームを採用することで、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)を展開する。新型プラットフォームは、複数のパワートレインを効率的に搭載することを前提に開発しており、同じモデルで多様な電動車を展開できる。EVの場合、床下に車載電池を搭載すると車高が高くなり、セダンタイプの設計は難しくなるが、新型ESでは複数のパワートレインを搭載することを想定しながらデザインが破綻しないよう設計したという。千足チーフエンジニアは新型ESのプラグインハイブリッド車(PHV)の展開について「必要な時に用意することは可能だ」と語った。