東京海上日動火災保険は、保険修理の工賃算定に用いる「指数対応単価」の2025年度方針を決定した。CPI(消費者物価指数)変動結果を反映させる「地域適用単価(基準額)」を見直すほか、特定整備認証の取得の有無を評価する新たな「個別加算額」を設けたりする。整備事業者を取り巻く環境変化や社会情勢などを踏まえ、昨年度に続く引き上げを決めた。
25年度の指数対応単価方針の改定で例年と大きく異なるのは、都道府県ごとに適用する地域適用単価(基準額)の見直しだ。人件費などを中心に整備業界での環境変化やコスト構造の変化などを踏まえ、実質的な上昇額を150~490円とした。
個別加算額も大きく見直す。「特定整備制度加算」を新設し、分解整備と電子制御装置整備の両認証を取得する整備事業者には100円の加算を行う。また、23年度から設けている「人件費加算」は、従来の100円から150円に引き上げる。今後の賃上げ原資に活用してもらい、整備士の人材確保・育成につなげたい考えだ。
産業廃棄物の処理費用上昇への対応も盛り込んだ。これまでは指数対応単価で一定の考慮をしてきたが、処理費用に不足が生じる場合には、同社が実態を把握した上で、個別に手当てが必要かどうかの協議を整備事業者と行う。詳細は今後検討を進める。
指数対応単価自体は、25年度も従来と同様に前年(暦年)のCPIと連動するスキームを基本とする。24年のCPIは、23年比で2.7%上昇した。このCPI変動結果を地域適用単価(基準額)に反映させる。
原則、7月1日以降の入庫事案から新たな指数対応単価を適用する。
同社は、整備事業者の足元の環境変化などを踏まえ、18年度から指数対応単価の引き上げを継続してきた。特に注視が必要とする原材料費、エネルギー価格、労務費などの推移を把握するために、品目別CPIや人件費に関する公的統計資料などを確認して適用水準を判断しているという。
また、国土交通省と日本損害保険協会(損保協、城田宏明会長=東京海上日動社長)がそれぞれ3月に取りまとめた、価格交渉に関するガイドラインも踏まえ、25年度の指数対応単価方針を決定した。