モペットはペダルをこいでいても原付扱いだ(イメージ)

 ペダル付き原動機付自転車(モペット)の自動車損害賠償責任(自賠責)保険加入率が5割に満たないことが国土交通省の調査で分かった。「キックボード」など電動モビリティの種類が増える中、法律上の区分や義務への理解が追いつかないことも背景にありそうだ。国交省は4月から若年層に向けた啓発活動を強化していく考えだ。

 モペットは、原動機(エンジンもしくはモーター)とペダルがある二輪車のうち、原動機だけで走れたり、電動アシスト自転車の基準(アシスト比率)を超える車両を指す。昨年11月の道路交通法改正で定義が明確化され、ペダルだけで走る場合も一般原付として(1)免許とナンバーの取得、(2)ヘルメット着用、(3)歩道走行不可などの順守が求められるようになった。自賠責保険(及び共済)の加入義務もある。

 自賠責に加入せずモペットで走らせた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる。違反点数は6点(免許停止)だ。無免許の場合はさらに罪が重いし、何より事故を起こした場合、賠償負担がのしかかる。

 国交省は今年1月、ウェブアンケート形式で自賠責保険の加入状況を調べた。モペット所有者で「加入している」と回答したのは46.7%と半数に満たず「おそらく加入している」(20.4%)を合わせても67.1%にとどまった。同じく加入義務のある電動キックボードも「加入している」の回答は42.7%と半数に満たなかった。

 モペットの加入義務について「知っている」と回答したのが31.0%。「知らない」が48.2%、「モペットが分からない」が20.8%だった。年齢別では、10代と20代で「知らない」が50%を超えた。

 国交省と警察庁などは昨年11月、電動モビリティ関係事業者向けにガイドラインを作成。この中で、モペットなどの購入者に対し、交通ルールなどの周知や自賠責保険の加入義務を説明することなどを販売事業者に求め、利用者への街頭指導も行っている。

 国交省は、これまでもモペットなどの利用者にリーフレットを配ったり、ネット動画をつくるなどして啓発してきた。4月から活動を強化し、改めて周知や啓発に取り組む方針だ。