新たな移動手段として若者やフードデリバリーなどで人気のモペット。ペダルとモーターがある外観は電動アシスト自転車とほぼ変わらないが、昨年11月1日施行の改正道路交通法で、モーターを使わずにペダルだけで走る場合も一般原動機付自転車(一般原付)に分類されることが明確になった。

 2023年7月施行の改正道交法でできた「特定小型原動機付自転車(特定原付)」は、車体構造などの一定要件を満たせば16歳以上は免許なしで運転できる。電動キックボードの多くは特定原付、モペットの多くは一般原付に区分される。

 こうした法整備やインターネット販売を追い風に電動モビリティの普及が進み始めているが「モペットは電動アシスト自転車と同じ」などと誤った認識に基づく違法な走行が後を絶たない。

 スピードが出るため危険でもある。警察庁によると、モペットによる交通事故は2022年が27件、23年が57件、24年が68件と増え、24年は2件の死亡事故も起きた。交通違反の摘発件数も急増している。「ナンバーの表示義務違反」「無免許運転」「ヘルメット着用義務違反」が目立つという。

 今年1月31日には、モペットを免許不要の特定原付と偽って販売したとして、大阪府警が自転車製造会社の会社役員らを詐欺と不正競争防止法違反(誤認惹起表示)の疑いで書類送検した。モペット販売業者の摘発は全国で初めてだ。

 警察庁は、今後も車両区分に応じた交通ルールやマナーの周知や取り締まりに努めていく方針だ。国交省は、保安基準に適合したモペットの型式や外観などの情報を同省ウェブサイトで公表するための準備を進めている。