日産自動車は、自動運転の実証車両を10日までに報道公開した。まず、自社で2025年秋から横浜市内で自動運転サービスを始めた後、27~28年度には車両と関連サービスをセットにして自治体やタクシー事業者などに売り込んでいく。将来的には無人での自動運転サービスを目指す。
実証車両はミニバン「セレナ」にカメラ14個、レーダー9基、LiDAR(ライダー、レーザースキャナー)6基を搭載。従来の電気自動車(EV)「リーフ」を用いた実証車両に比べ、高い車高を生かして検出エリアを広げたほか、検出精度も高めた。
自動運転のレベルは「官民ITS構想・ロードマップ2017」で定義された「遠隔型自動運転システム」で、主に事業用車両を想定した「レベル2」(高度な運転支援)だ。国土交通省が18年3月に遠隔型自動運転システムの基準緩和認定制度を創設し、公道走行が可能になった。
サービス当初はドライバーを同乗させるが、無人運転を想定し、電源を喪失した場合などに安全に停止する仕組みを整えた。グローバル本社(横浜市西区)に設けた遠隔監視室も、体調急変などのトラブルにも通話機能などで初動対応する。
25年秋からは、約20台の自動運転車を横浜市内で走らせる。実証車両は、自動運転システムを車両3列目に搭載しているが、サービス開始時までに収まるサイズに小型化し、乗車人数を増やす。27~28年度には車両と関連サービスをパッケージ化して自治体に販売する。乗車予約などができるアプリや遠隔監視、保険などをパートナー企業と開発する。
自動運転サービスは米中が先行するが、日本でも社会実装に向けた動きが活発化している。日産も自動運転車両を使った移動サービスを普及させ、新たな収益源に育てる考えだ。
(2025/3/13 修正)