日野自動車と、同社の物流子会社、ネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、梅村幸生社長、東京都新宿区)が自動運転を想定した「幹線向けダブルストレーラー」を開発している。全長や連結車両総重量(GCW)の規制緩和など課題もあるが、物流効率を高める車両として実現を目指す。

 このほど車両を初公開した。新東名高速道路などに設けられる「自動運転サービス支援道」ではダブルストレーラーとして自動走行し、それ以外の道路では後部トレーラーを切り離し、従来通りの有人セミトレーラーとして走る。トレーラーの連結と切り離しは、高速道路周辺の「モビリティハブ」で行うことを想定する。1度に運べる貨物量が増えるほか、トラクターヘッド(けん引車)とトレーラーを切り離すことで輸送効率も高まる。これまで共同輸送が難しかった冷凍バンや海上コンテナなどにも対応できる。

 ただ、ダブルストレーラーの全長は約29㍍超(ダブル連結トラックの全長は25㍍)、GCWは約58㌧以上(同44㌧)と、いずれも道路運送車両法などに抵触する。最高出力490馬力以上のトラクターヘッドが必要となるなどの課題もある。同社は規制緩和に向け国土交通省と協議していく考えだ。

 NLJは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業として、ヤマト運輸など4社によるレベル4(特定条件下における完全自動運転)自動運転トラックの実証や、走行を支援するデータ連携基盤の開発にも取り組んでいる。第三者のデータ改ざんによるトレーラーの盗難を防ぐブロックチェーン(分散型台帳)技術も開発中。また、この枠組みでダイナミックマッププラットフォーム(吉村修一社長、東京都渋谷区)は走行ルート上の天候急変や交通情報を車両に伝える通信技術を、ビプロジー(齊藤昇社長、東京都江東区)は走行中のヒヤリ・ハットの映像をシミュレーションに落とし込み、自動運転システムの開発に生かす技術をそれぞれ開発している。