自民、公明、国民民主の3党協議が物別れに終わり、幹事長間で合意したガソリン税(揮発油税・地方揮発油税)の「当分の間税率(暫定税率)」廃止は時期が見通せないままとなった。国民民主は今年前半の廃止を求めたが、自民、公明の両党は代替財源不足などを理由に「ゼロ回答」に終始した。与党は、今年末にまとめる2026年度の与党税制改正大綱までに、車体課税とともに暫定税率問題を議論する。燃料高が続く中、年内の廃止は絶望的になった。
2月26日に国会内で開かれた3党の税制調査会長による会合で、国民民主は年収「103万円の壁」をめぐる与党案を受け入れず、25年度予算案の修正に向けた3党協議は打ち切られた。暫定税率の廃止時期についても、与党側からの提示はなかった。
公明の西田実仁幹事長は同日の会見で、暫定税率に関して「3党で廃止すると決めた以上、具体的にどのようなプロセスで、どのように廃止していくのか与党として提示していく必要がある」と語った。幹事長合意を踏まえ「誠実に対応していくべきだ」と、今後も3党協議を継続していく考えで一致したという。
国民民主の榛葉賀津也幹事長は「見事にゼロ回答だ。国民生活を考えたらゼロ回答はあり得ない」と断じた。幹事長合意について「どういうプロセスで何をやるかという約束もしたが、それも残念ながら守られることはなかった」と明らかにした。
国会でも、暫定税率の廃止時期に関する質疑が相次いだが、石破茂首相は「(廃止は)約束だからやる」と答弁した上で、代替財源確保の必要性などを盾に廃止時期の明言は避け続けている。政府によると、ガソリン税の暫定税率分は年間約2兆円ほど。
21日の衆議院予算委員会では、国民民主の長友慎治氏からの質問に対し「(暫定税率による税収は)道路整備など必要なものに充てられており、地方はそれを非常に望んでいる」と石破首相は答弁した。26日の衆院予算委では、暫定税率廃止に伴う代替財源に政府基金の一部を充当する立憲民主党案に対し、石破首相は「道路整備などを安定的に続けなければならない。基金は安定的な財源だと思っていない」と答弁した。
もっとも暫定税率は、道路整備の財源不足を理由に1974年から文字通り〝暫定的〟に本則税率に上乗せされてきたものだ。日本の道路網はほぼ出来上がり「道路特定財源」の廃止に伴い税収と道路整備の関係も切れたはずだが、依然として「道路整備」「代替財源ありき」で50年以上も課税が続く。