7月に就任した国土交通省の石原大物流・自動車局長は日刊自動車新聞などの取材に応じ、日米関税協議で合意した米国生産車の審査見直しについて「保安基準そのものの見直しは考えていない」と語った。輸入自動車特別取扱制度(PHP)の審査手続きを簡素化することで米側の要望に応える方針だ。また、日本と同水準の保安基準と審査体制を持つ国に輸出されている米国生産車について、日本での追加試験を免除することも検討する。詳細は米国側と詰めていく。

 日米関税交渉の合意事項には「米国メーカー製の乗用車を追加試験なく(日本に)輸入可能とする」という方針も盛り込まれた。

 日本や欧州は、自動車基準に関する国連の多国間協定「1958年協定」に加盟している。米国は同協定に加盟しておらず、独自の安全基準を持つ。このため、米国生産車を日本に輸入する際、追加試験が必要となる。

 昨年の米国メーカー車の日本での新車販売は約1万6700台だった。台数が少ないため、国産車のような「型式指定制度」ではなく、1型式当たり年間5千台以下の輸入車に適用されるPHP制度を使って輸入している。国交省は、PHP手続きの簡素化を進める。欧州などにすでに輸出されている米国生産車は追加試験の免除も検討する。

 石原局長は「日本の保安基準に適合する車を求めていくことは変わらない」と前置きしつつ、手続きの緩和などを進め、米国側の要望に応えていくとした。