日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは6月10日、経営統合の最終合意を締結したと発表した。両社は、日野の親会社であるトヨタ自動車と、三菱ふそうの親会社のダイムラートラックが設立する統合会社の子会社となる。懸案だった日野の認証不正問題が米当局などと和解に至ったことで、2023年5月の基本合意以来、丸2年を経て再始動する。電動化や自動運転などの次世代技術を中心に、改めてタッグを組んで競争力強化を目指す。
統合会社は、26年4月1日の事業開始を予定する。代表取締役を2名置き、CEO(最高経営責任者)には三菱ふそうのカール・デッペン社長が就任する。トヨタとダイムラーは統合会社の株式を25%ずつ保有するが、議決権比率はダイムラーが26.7%、トヨタが19.9%となるよう、統合後一定期間内に持ち分比率を調整する。東京証券取引所プライム市場への上場を目指しており、従業員規模は4万人以上となる想定だ。社名や協業の範囲などは数カ月以内に発表する。
商用車は、電気自動車(EV)だけでなく燃料電池車(FCV)やカーボンニュートラル燃料など、多様な方法での脱炭素化が求められ、多額の研究開発費を捻出する必要がある。とりわけ日野は認証不正問題で25年3月期に2177億円の赤字となるなど、財務状況が厳しい。日野は三菱ふそうとの統合を「千載一遇の機会」(小木曽聡社長)と捉えており、両社で既存事業の強化と脱炭素化に向けた競争力の向上を目指していく。
三菱ふそうのデッペン社長は「2つのブランドとリソース、能力、専門性を結集し、これからの輸送ニーズにこれまで以上に的確に応えることができるようになる。新会社の代表に任命されたことを光栄に感じ、身の引き締まる思いだ」とコメントした。