電動車需要はHVがけん引している(米国ラスベガス)

 日本の大手自動車メーカー3社による2024年の国・地域別電動車販売がまとまった。トヨタ自動車は販売全体の4割以上を電動車が占め、ホンダも2割超、日産自動車もおよそ15%が電動車だった。世界的な燃料高を背景に燃費改善効果の高いハイブリッド車(HV)が販売を伸ばすほか、電気自動車(EV)も新型車効果で増加した。一方、「新エネルギー車(NEV)」市場の価格競争が再燃する中国は各社とも苦戦が続く。プラグインハイブリッド車(PHV)の勢力図はまだ固まっていない。

 HV、EV、PHV、燃料電池車(FCV)の販売実績をまとめた。世界販売に占める電動車比率はトヨタが44.6%(前年比8.9㌽増)、ホンダが22.8%(同1.2㌽増)だった。

 特にHVの好調が続く。トヨタの場合、24年の世界販売は前年比1.4%減だったが、電動車は同23.2%増加した。このうち9割以上がHV(マイルド式含む)で、NEV比率が4割を超す中国でも販売を伸ばした。ホンダも、北米で「シビック」「CR―V」、国内でも「フリード」などのHVが好調だ。青山真二副社長は「手頃な価格でバリエーションも増え、HVが選ばれているのは間違いなく事実だ。来年度はもうワンランク上がり、グローバルで100万台を超えるのが今の見立てだ」と話す。

 EVも台数自体は増加している。トヨタはレクサス「RZ」などを扱う北米でEV販売を前年比で8割増やした。ホンダもゼネラル・モーターズ(GM)との共同開発車「プロローグ」などで販売が増えた。目立った新型車の投入がなかった日産のEV世界販売は同7.3%減少した。EV販売はインセンティブ(販売奨励金)に頼る部分も大きく、収益貢献はまだ先の話だ。

 PHV市場は特に中国で急拡大しており、24年の新車販売(輸出含む)は前年比で2倍近く(約1.8倍の約514万台)に伸びた。ただ、日本の3社は車種数が少ないこともあり、いずれも前年を下回った。現地のNEV市場はおよそ9割を地場ブランドが占め「中国市場特有の難しさがある」(マツダのジェフリー・エイチ・ガイトン専務執行役員)という。HVとEVの中間的な特徴を持つPHVは、国ごとに目安が異なるEV航続距離と価格をどうバランスさせるかもカギになる。

 触媒担体大手、日本ガイシの小林茂社長は、EVの普及ペースを「5年くらいセットバックしたような感じ」と話す。主要国の環境規制が厳しくなる30年頃に向け、徐々にEV販売が伸びるとの見立てが一般的だが、足元のHV需要は根強い。今後は中国以外でも市場ニーズがHVからPHVへ移るかどうかや、日本勢がPHVでも国際競争力を保てるかが注目点と言えそうだ。