トヨタ自動車は2月5日、2025年3月期通期業績見通しを上方修正すると発表した。売上高に相当する営業収益は前回公表値から1兆円増の47兆円、営業利益は4000億円増の4兆7000億円、当期純利益は9500億円増の4兆5200億円とした。価格改定やインセンティブ(販売奨励金)の抑制、バリューチェーン収益の拡大、円安効果などが売り上げや利益を押し上げる。宮崎洋一副社長は、米政権の追加関税など今後の変化について「今の収益構造でいけば今期は十分に対応できる」との見通しを示した。
営業収益は過去最高を更新する見通し。想定為替レートを1ドル=152円と前回見通しより5円円安とし、為替影響で4850億円のプラスを見込むほか、値上げとインセンティブの抑制、バリューチェーン収益の拡大効果も利益を5650億円押し上げる。宮崎副社長は「生産の安定化が昨年内で図れたため、1~3月は日当たり1.4万台を上回るペースになる」と語った。一方、通期の連結販売台数、生産台数は据え置いた。
4~12月期の連結販売は、前年同期比4.0%減の700万台だった。北米やインドなどが好調だったが、国内での認証問題や「プリウス」の生産停止、中国での販売減少などが影響した。営業利益は同13.2%減の3兆6794億円。円安に伴う4900億円の押し上げ効果や原価改善があったが、販売減や諸経費の増減、日野自動車関連の一時費用などが影響した。
今期の営業利益見通しは、過去最高だった前期(5兆3529億円)に次ぐ水準となる。トヨタは〝稼ぐ力〟を維持しながら仕入れ先や販売店への支援に力を入れており、今期は総額8300億円を充てる。宮崎副社長は「販売店や、ティア1仕入れ先のみならず、ティア2以降の深いレイヤーにも波及・浸透させていくことをより強く意識して進めていく」とした。