三菱自動車は2月3日、2025年3月期の当期純利益が従来予想よりも7割以上少ない350億円になりそうだと発表した。従来予想は1440億円だった。タイやインドネシアの販売台数が想定を下回った。通期の販売計画は84万8000台と4万7000台引き下げた。決算説明会で加藤隆雄社長は販売低迷に伴ってタイで300人規模の希望退職の募集を始めたことを明らかにした。

4~12月期の売上高は前年同期比3.6%減の1兆9892億9100万円、営業利益は同34.7%減の1045億9100万円、当期純利益は同67.7%減の332億3000万円だった。

同期のグローバル販売は、同約7%増の62万4000台。北米や日本で販売を伸ばしたほか、東南アジアも約5%増の19万台と増加したが、計画には届かなかった。このほか、米国での販売費用の増加やサプライヤー支援を含めたインフレ対応などが減益要因となった。10~12月期の3カ月間では48億円の当期純損失を計上した。

足元の状況を踏まえ、当期純利益や販売計画以外の通期予想も下方修正した。売上高は2兆7600億円(従来予想は2兆8800億円)に、営業利益は1250億円(同1900億円)に下げた。加藤社長は「10~12月期が販売台数と利益の底」とし、1月以降に挽回していく考えを示した。

ただ、主力市場のタイは、自動車ローン審査の厳格化で厳しい市場環境が続く。加藤社長は「新車需要の正常化には一定の時間がかかると考えられる」と述べ、構造改革に着手したことを明らかにした。30~54歳の従業員を対象に希望退職を募り、固定費を削減する。

加藤社長はまた、ホンダと日産自動車の経営統合の議論が長引いていることについて「(両社が方向性を発表する)2月中旬であれば当社の判断に大きな影響はない」と言及。三菱自の合流有無の判断については「内容次第だが、基本的には2社に合わせたい」と述べた。2社との経営統合に対する三菱商事などグループ会社のスタンスについては「さまざまな意見がある」との回答にとどめた。