新コンセプトの1号店となった「BMW青山スクエア」(23年の改修当時)

 ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、長谷川正敏社長、東京都港区)は2028年をめどに、BMWとMINI(ミニ)のすべての販売拠点で新たなショールームのコンセプト「リテール・ネクスト・デザイン」の導入を目指す。新コンセプトはホテルやラウンジのような雰囲気を出しつつ、環境に配慮した素材を使うなどして上質な空間を演出するもの。同社ではこれまでよりもランクが上の車両の販売を強化する方針を打ち出している。顧客との接点となる各店舗の機能を強化することで、富裕層を引き付けていきたい考えだ。

 現在、同社の正規販売店はBMWが168店、ミニが119店の計287店舗となっている。現時点で、このうち約1割の店舗で、新コンセプトの導入が終了した。今後、販売会社と協力しながら、順次導入を進め、今後3年程度で全国の店舗を新コンセプトに基づくショールームに切り替えていく。

 リテール・ネクスト・デザインは、顧客のニーズや思考を第一に考える「カスタマー・セントリック(顧客中心主義)」をテーマにしている。この一環として、デジタルを活用して、ショールームで魅力的な体験を提供できるようにもする。新たな技術やトレンドに敏感な富裕層も満足できる空間づくりにつなげる。

 また、環境面を意識した素材を活用することも大きな柱にしている。国内や近隣地域から調達が可能な部材、天然素材、リサイクル可能な素材を活用する。持続可能性を追求した店舗としていくことで、環境問題への関心が高い顧客にも対応する。同社では23年6月にこのようなコンセプトを導入する方針を公表。当初は25年の導入完了を視野に入れていた。

 日本自動車輸入組合(JAIA、ゲルティンガー剛理事長)によると、24年のBMWの販売台数は前年比2.1%増の3万5240台、BMWミニは同3.5%減の1万7165台だった。