オンラインストアでも3つのキャブとグレードを選択できるようにした

 いすゞ自動車は、2024年度目標(5千台)の3割程度の受注にとどまる小型トラックの新型「エルフミオ」の販売をてこ入れする。同モデルの発売に合わせ導入したオンラインストアを軸に、個人事業主などを取り込んでいく考え。すでに、同ストアで車内外の装備を乗用車並みに充実した新グレードの取り扱いを始めたほか、キャブ形状も3種類から選べるようにするなど品ぞろえを強化した。例年、最大需要期となる年度末商戦に向け、オンラインでの受注を増やすことで目標達成に弾みをつける考えだ。

 エルフミオは現行の普通免許(2017年以降取得)で運転できるディーゼルエンジンを搭載した国内唯一の小型トラックとなっている。物流業界で深刻になっているドライバー不足に対応しやすくするほか、輸送量の拡大に合わせ軽トラックなどから乗り替える個人事業主や第一次産業従事者のニーズの吸収を狙っている。

 受注台数は7月の発売以降、約1500台超(11月末時点)となっている。このままのペースでは24年度の目標値に届かない可能性があることから、受注の上積みを急ぐ。

 この鍵の一つとみているのが、オンラインストアだ。新型車は車体総重量(GVW)を3.5㌧未満に抑えつつ、最大積載量は1.35㌧(平ボディー)を確保している。自動変速機(AT)限定の普通免許で運転できることから、これまでトラックに乗っていなかった新規客に対応しやすい。商用車ディーラーと縁遠かったユーザーとの接点を広げる手段として、オンライン販売は有効と考えており、営業施策を充実した。

 例えば、合成皮革を用いたシートや電動パーキングブレーキ、オートエアコン、スマートキーなどを標準装備とした上級グレードの「SEカスタム」の取り扱いをオンラインで始めた。機能や質感を高めることで、乗用車や上級仕様の商用バンからの代替を促しやすくする。また、座席を倒せる「スペースキャブ」と、後席を設けて最大6人乗りとした「ダブルキャブ」も選択できるようにした。オンラインストア内でも、見積もり作成までの流れや画面表示にも手を加え、利便性を高めたという。

 また、オンライン限定のリース商品も用意。点検費用や税金などを含めた最長9年間のプランで、月額費用を抑えて手を届きやすくした。

 同社によると、オンラインストアには月平均10万件ものアクセス数があるという。これを成約に結び付けるような一手を打っていくことで、市場を刺激し、全国の系列ディーラーでの販売活動の後押しにもつなげる考えだ。