スバルは11日、「クロストレック」などのハイブリッド車(HV)に搭載する基幹部品「トランスアクスル」を製造する北本工場(埼玉県北本市)を報道陣に公開した。同工場はかつて汎用エンジンを生産していた。リニューアルに当たり、自動化や従業員の働きやすさを意識したラインを構築した。同工場をモデル工場に、全社としての生産革新を目指す。

 同工場は今年10月にトランスアクスルの生産を開始した。過去には発電機などの汎用エンジンを製造していたが、2017年に産業機器事業から撤退。その後は物流倉庫として活用していた。22年12月から改装工事に着手し、年間最大18万6千台の生産能力を持つラインを整えた。

 DX(デジタルトランスフォ―メーション)を意識した設計とした。トランスアクスルは複数のモーターとケース部品、多数のギアで構成されるため、各工程での精度の向上が品質安定化と生産効率化の肝となる。ラインの稼働率などをデジタルデータで管理するシステムを導入し、設備トラブルの未然防止や原因特定、早期対応につなげる。

 品質検査もシステム上で履歴などを一元管理する。ギアの異音検知には人工知能(AI)による解析技術も用いた。製品開発時に予め、量産時に起こり得るトラブルを予測して対策を取り入れるなど、開発と生産の連携も深めている。

 同社は26年にも新型電気自動車(EV)を矢島工場(群馬県太田市)で混流生産し、27年以降には大泉工場(群馬県大泉町)にEV専用の新工場を立ち上げる。電動化と並行して国内工場の再編を進めており、北本工場は全社での生産革新に向けて新たな試みを導入し、効果を検証する役割を担う。

 同社の福水良太常務執行役員モノづくり本部長は、「地域との共存も大切にしながら、ものづくりの競争力をどう保てるか。ここをモデル工場に、新工場につなげていく第一歩と捉えている」と話した。