トヨタ自動車は、認定した一般の整備工場へトヨタ車の入庫を誘導する統括部署「トヨタメンテナンスセンター」を立ち上げる。法人向けリース車両について、系列販売会社で賄い切れない車両の定期点検や一般整備を、トヨタが認定した一般整備工場へ入庫調整を行う。一定の基準を満たした委託先の協力工場には「トヨタ認定サービス工場」の看板を掲げ、顧客にも整備品質や安全性をアピールできるようにする。2025年2月から東京都や埼玉県など関東エリアから一般工場への委託を開始し、順次全国に広げていく。
これまでトヨタレンタリース店の法人リース車の整備は系列販社で行っていたが、今後は法人リース車の管理をトヨタメンテナンスセンターが統括し、各販社の入庫状況を踏まえ一般整備工場への入庫を差配する。こうしたスキームを運用するため、リース車両のメンテナンスを受託管理するナルネットコミュニケーションズと業務提携する。
一般整備工場を認定するのは、販社の入庫対応力が限界に近づいているためだ。トヨタの販売店は近年、アフターサービスを中心としたバリューチェーン強化に取り組み、メンテナンスパックの販売などで整備入庫率を高めてきた。ただ、突発的なリコール(回収・無償修理)対応が増加していることに加え、慢性的な整備士不足が拍車をかけ、販社のサービス部門の負担は大きくなっている。
販社では、主に新車拠点に併設する整備工場に加え、自社のサービス拠点「準テクノショップ」が全国約100拠点、離島など空白エリアで地域の有力な一般整備工場にサービスを代行させる「認定サービス工場」が約130拠点あり、さらに各地域で独自の一般工場協力網を持つ。今回、トヨタが新たに認定する協力工場は、販社の認定工場を兼ねるケースもあるという。トヨタ認定工場は点検・整備作業のみを行い、リコール対応は販社が責任を持って自社工場と販社の認定工場が行うことで作業をすみ分ける。
トヨタは工場認定に当たり、対象地域の販社の意向も踏まえた上で、一般工場に直接訪問して受託基準を満たしているか確認する。提携先には教育ツールや技術情報を提供するほか、トヨタの純正部品を供給し整備品質を高める。顧客への安心感を与えるため、トヨタ認定サービス工場の看板を掲げ、トヨタのホームページでも協力工場を掲載する計画だ。