本田財団(石田寛人理事長)は18日、第45回「本田賞贈呈式・記念講演」を帝国ホテル東京(東京都千代田区)で開いた。光干渉断層撮影(OCT)の開発と普及に貢献したマサチューセッツ工科大学電子工学研究所のジェームス・G・フジモト博士にメダルや賞状などが授与された。
OCTは、厚さ0.1~0.5ミリメートル程度である網膜などの断層画像を撮影でき、世界中の医療現場で広く使われている。フジモト博士は1980年代に網膜専門医と共同研究を始め、光ファイバーや衛星通信技術の専門家の協力も得て撮影装置を開発した。商業化に向け「医工連携」の先駆けとなったことも評価された。
フジモト博士は記念講演で、自身の父親が視力を失いかけたことがOCT技術を医療分野に生かすきっかけの一つになったと話した。糖尿病といった全身疾患のほか、血管内の断層撮影や産業分野にも活用され始めており「研究から実際の臨床に展開できる一つの事例となった。全ての関係者に感謝したい」と話した。