トヨタ自動車は、出資する米ジョビー・アビエーションの電動垂直離着陸機(eVTOL、イーブイトール)を東富士研究所(静岡県裾野市)で5日までに報道公開した。10月末には同研究所で国内初となる試験飛行に成功した。トヨタはジョビーに約1300億円出資し、電動化関連部品や生産技術なども提供して「空飛ぶクルマ」の実用化を後押しする。

 試作機は6つの電動プロペラを持ち、最高時速200㍄(320㌔㍍)で飛行する。主翼部にバッテリーを搭載し、航続距離は最大100㍄(160㌔㍍)。トヨタはプロペラ機部を動かすアクチュエータ(作動器)部品を提供するほか、生産技術や品質管理などトヨタから技術者を数十名規模でジョビーに派遣している。

 報道公開当日は天候不良のためデモ飛行は中止されたが、10月末に国内での飛行に成功した。ジョビーのジョーベン・ビバート最高経営責任者(CEO)は「運航開始時には雲や雨の中でも安全に飛行できるようになる」と強調した。

 イーブイトールは、ヘリコプターのような垂直離着陸が可能で、静粛性に優れることから都市間での高速タクシーのような利用が可能だ。豊田章男会長は「東京から東富士研究所まで25分で飛んでくることができる。世の中の生活が変わる」と期待を寄せた。