産学官連携で自動運転やSDV(ソフトウエア・デファンインド・ビークル)のソフトウエア人材確保・育成などに取り組む「モビリティDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム」の設立イベントが10月17日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれた。経済産業省と国土交通省が主催したもので、設立の狙いや今後の活動内容を発表した。自動運転やAI(人工知能)など先進デジタル技術で著名な企業経営者や大学教授らによるパネルディスカッションも行った。
設立イベントは幕張メッセで開かれた「ジャパンモビリティショー(JMS)ビズウィーク2024」のステージで行った。
経産省の上月良祐副大臣は、モビリティDXプラットフォームについて「モビリティDXをけん引する基盤となり、皆さんと生み出す新たなシナジーが日本の競争力を高め、モビリティの新たな世界を切り開いていくことを期待する」などとビデオレターを寄せた。
モビリティDXプラットフォームは、両省で5月に策定した「モビリティDX戦略」に基づいて設立したもの。戦略では「SDV」「自動運転によるモビリティサービス」「データ利活用」の3領域での官民連携や業種を超えた協調的な取り組みを進めて、2030年および35年にSDVの世界販売台数で「日系シェア3割」の実現を目標に掲げる。
その中で、モビリティDXプラットフォームは、3領域横断で喫緊の重要課題であるソフトウエア人材の確保・育成や企業間連携などを推進する共創の場と位置付けている。
モビリティDX戦略の説明を行った経産省の伊吹英明製造産業局長は、自動車産業がGX(グリーントランスフォーメーション)と、SDVや自動運転を中心としたDXの両軸でグローバル競争が進展していることに触れ、「一番大きな動きにあるSDV領域で(日本の自動車産業が)どうやって勝っていくか」が今後の重要課題であると指摘した。
パネルディスカッションは、「自動車業界とスタートアップ・異業種との連携」と「ソフトウエア人材、コミュニティ」の2部構成でそれぞれ異なるパネラーを招いて行った。自動運転関連企業からは、チューリングの山本一成代表取締役と、ティアフォーの加藤真平社長CEOが出席した。
モビリティDXプラットフォームの事務局を務める自動車技術会の中畔邦雄会長も参加し、「新しい付加価値を生み出すには、新しい刺激と思考の多様化が必要。モビリティDXプラットフォームを活用して(SDVを通じて)何を生み出したいのかを産学官で共通理解を持ちたい」と、今後の取り組みへの意欲を語った。
閉会挨拶を行った国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は「経産省と国交省のタッグ、産学官の連携、異業種の方々がさまざまな化学反応を起こすプラットフォーム。しっかりと推進していきたい」と述べた。