位置情報の提供に不安を持つ人も…

 地図サービス利用に伴う個人情報の扱いについて、約4割の人が不安を感じていることが、デジタル地図を手掛けるマップボックス・ジャパン(高田徹CEO、東京都港区)の調査でわかった。地図の正確性や高い更新頻度を求めていることもわかった。ただ、位置情報を含む個人情報は救助の迅速化に役立つ側面もあり、事業者にとっても悩ましい実態が浮き彫りになった。

 全国の男女(20~69歳)、500人を対象にインターネットで調査した。

 「地図サービスの利用時に、取得された検索履歴などの個人情報を提供することがありますが、それら個人情報の扱いについて、あなたのお気持ちに最も近いものをお答えください」という質問に39%が「不安がある」「やや不安がある」と答え、「不安はない」「あまり不安はない」の24%を上回った。特に女性では「不安がある」との回答が約5割を占め、男性より不安感が強い様子がうかがえた。

 「充実していると嬉しくなるもの」を聞いたところ①地図の見やすさ、わかりやすさ②交通状況に基づく最適なルート案内③レストラン、ショップなどの最新情報の反映④地形、道路、建物の最新情報の反映、の順となった。

 デジタル地図はカーナビゲーションシステムを筆頭にさまざまなアプリやデバイスで使われている。位置情報の活用でアプリがより便利になる一方、取得した個人の位置情報を提供することに不安の声も根強い。過去には、位置情報を友人同士で共有できるアプリで、現在地などが外部から閲覧可能になっていたこともあった。検索履歴や行動履歴が漏洩するリスクもある。

 一方で、災害時などでは個人情報が役立つ側面もある。実際、警察や海上保安庁又は消防などからの要請に基づき、携帯電話事業者が個人の位置情報(GPS位置情報及び携帯電話端末の基地局位置情報)を取得・提供することが可能になっている。

 ただ、民間企業の場合、位置情報を取得、活用するハードルはなお高い。同社は「当社の場合、ユーザーから匿名でデータを収集しているためプライバシーやセキュリティが担保されている。匿名化や非識別化で、個人が特定できる情報としての位置情報を収集していない点を評価頂いている」としている。