8日夕、日向灘を震源とする地震があり、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測した。気象庁は専門家による評価検討会を開き「巨大地震注意」とする南海トラフ地震臨時情報を初めて発表。関東から九州地方までの1都2府26県707市町村について、1週間程度、地震や津波に注意するよう呼び掛けた。夏季休暇を目前にした自動車メーカーやサプライヤーも被害の確認や対応に追われた。
ヤマハ発動機は9日、経営幹部などを中心としたメンバーで構成する災害対策本部を設置。静岡県西部で震度6以上の地震が起きた場合はオンライン会議を開き、被害状況の把握や今後の方針を話し合う。スズキとダイハツ工業は、災害への備えの再確認などについて、全社員にメールや社内イントラネットを通じて注意喚起した。日野自動車も社員へ注意喚起したほか、関係会社やサプライヤーへの緊急連絡体制を再確認する予定。いすゞ自動車も夏季休暇中に注意するよう社員に通知した。
サプライヤーでも、デンソーが社員に防災意識の啓発と注意喚起、行動要領の周知を図ったほか、愛三工業も管理職に対し、社内設備の状況確認と夏季連休中の緊急連絡網の整備・徹底を求めた。大豊工業も各部署で休暇中の緊急連絡網を再確認した。
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8日夕の地震による目立った被害は今のところ確認されていない。宮崎県内に複数の事業拠点を持つ旭化成では、揺れを検知して緊急停止した製造ラインもあったが、9日午前時点で大きな被害は確認されていない。パワーウインドーモーターなどを生産するデンソー宮崎(宮崎県国富町)、電動シートやサンルーフ向け部品を手掛ける松尾宮崎(宮崎県都城市)をはじめ、日南NOK(宮崎県日南市)やミネベア アクセスソリューションズ(宮崎県宮崎市)など、宮崎県下のサプライヤーでも目立った被害はなかった。メタルアート子会社のメタルフォージ(宮崎県門川町)でも被害は確認されていないが、物流への影響などを調査中という。大豊工業の九州工場(鹿児島県出水市)や燃料ポンプモジュールなどを生産する愛三熊本(熊本県玉名市)などでも被害は確認されていない。
宮崎県自動車販売店協会の田村謙治事務局長は本紙の取材に対し「現時点で会員からの被害報告は受けていない」と語った。宮崎県自動車整備振興会の甲斐保紀専務も「物が落ちたぐらいで、建物などに被害はない。会員からの被害報告も受けてない。宮崎県運輸支局や鹿児島県自動車整備振興会と情報交換したが、ともに被害は把握してないとのことだった」と説明した。