国土交通省は、高速道路の逆走対策として路車協調技術のほか、車載カメラなど車両側の装置を活用できないか検討に入る。逆走を検知した際、逆走車や順走車のカーナビゲーションシステムやスマートフォン(スマホ)に注意喚起する仕組みも新たに開発する。今年度中に要件をまとめ、高速道路会社による技術の公募を4年ぶりに始める。
路車連携では、CCTV(道路監視カメラ)の画像を人工知能(AI)で解析処理して逆走車を検知し、逆走車と順走車にカーナビやスマホ上で警告する技術を公募する。逆走のほか、事故や異常な車両挙動も検知し、こうした情報を道路管理者や交通管理者に通知することも視野に入れる。
車両側の新規公募技術では、車載カメラやドライブレコーダー、スマホの活用を検討する。GPS(全地球測位システム)などの位置情報を活用したり、車載カメラなどで「画像認識看板」を読み取って自車の逆走を検知し、カーナビやスマホ上に通知する仕組みを想定する。画像認識看板の標準化なども進めていく。
国交省は、2014年から高速道の逆走対策を本格的に始めた。有識者委員会で技術テーマを設定し、これまでに3回にわたり対応技術を公募。採用した15の技術は約390の優先対策箇所で実証または実装している。技術の公募は約4年ぶりとなる。
技術公募を再開する背景は大きく2つある。まず、スマホやドライブレコーダーの普及に加え、道路管理設備が充実したことだ。高速道の事故や渋滞などの交通状況を把握するCCTVの設置数は、23年にNEXCO3社合計で約1万5600台と16年比で2.7倍に増えた。
もう一つは、逆走事案の発生件数が毎年200件程度に下げ止まり、本線上の逆走が多い状況が続いているため、本線上での逆走検知や順走車への情報提供ができる技術が必要と判断したことだ。
国交省は「高速道路における安全・安心基本計画」を19年に策定し、29年までに逆走による重大事故ゼロを目標に掲げる。23年までに優先対策箇所の9割以上で逆走対策を完了して効果検証を取りまとめている。対策後も逆走が発生する箇所は個別に原因を分析し、追加対策の検討を進めている。