新基準への対応に半年ほどかかると見られる「ハイゼットトラック」
現行モデルの「ムーヴキャンバス」

ダイハツ工業が新車開発プロジェクトを大幅修正したことに関連して、今年11月から適用される継続生産車向けの新法規を満たして販売を続けるのは「ムーヴキャンバス」「タント」「ミライース」などにとどまることがわかった。残りの車種は新法規を満たせず、11月から生産をいったん見合わせる可能性がある。

国土交通省は、バックモニターなど「後退時車両直後確認装置」の装着義務づけをはじめ、「側面衝突時の乗員保護」の規制対象拡大、「後面衝突時の乗員保護」の新規要件適用、路上排出ガス試験(RDE)の強化といった新基準を、11月から継続生産車に適用する。これらは元々24年5月や7月などから順次適用予定だったが、今年1月の能登半島地震で受注した車両の生産が5月以降までずれ込むことを踏まえ、適用時期をすべて11月に延期した。

ダイハツの場合、認証不正によって開発業務を凍結した影響で、継続生産車すべてでこうした改正法規を満たすよう改良を加えることが難しくなりつつある。

22年7月発売のムーヴキャンバスは問題ないが、今年11月までに改良を済ませられるのはタントとミライースにとどまり、それ以外の車種は間に合わない模様だ。軽トラック「ハイゼットトラック」では対応に半年ほどかかると見られ、生産停止が長期化する可能性がある。

同社は23年12月20日に大規模な認証不正が発覚し、同月26日までに国内全工場を停止。24年5月にはすべての工場で稼働再開し、7月17日には最後まで見合わせていた小型SUV「ロッキー/ライズ」のハイブリッドモデルの生産も再開する。受注や販売が上向いていた矢先だけに、11月の一部生産停止は痛手になりそうだ。