デジタコ普及に力を入れる

 国土交通省は、事業用トラックのデジタル式運行記録計(デジタルタコグラフ=デジタコ)装着率を「2027年度までに85%」とする目標案を有識者会議に示した。今夏に正式決定する。現時点での義務化は見送り、装着率が85%を超えた段階で改めて検討する考えだ。

 目標設定の対象車両は、運行記録計(タコグラフ)の装着義務がある車両総重量(GVW)7㌧以上または最大積載量4㌧以上の事業用トラック。瞬間速度と運行距離・時間のデータ記録を必要最低限とし、保安基準に適合したデジタコを補助制度などを通じて普及させる。現在の装着率から約5㌽引き上げる形になる。

 国交省が5、6月に行った運送事業者向けアンケートによると、最大積載量4㌧以上の車両のデジタコ装着率(車両数ベース)は79・8%で、残り約20%はアナログ式運行記録計(アナタコ)だった。小規模事業者ほどデジタコの装着率が低い傾向にある。

 運送事業者がデジタコを使用しない主な理由として、費用負担の重さが挙がることを踏まえ、現行のデジタコに関する補助制度の見直しを検討する。具体的には、未装着者を優先し、10両未満の小規模事業者に対する補助率を手厚くする。安全運転機能や労務管理機能の搭載を必要条件としたり、動態管理機能を備えるデジタコには補助を手厚くすることなども検討する。デジタコへの理解を深めてもらうためのセミナーの開催や動画の配信も検討する。

 デジタコは後付けが可能だが、アナタコが装備されていると、あえて追加投資をしてデジタコに変更する必要がないと考えている事業者が一定数いることもアンケート調査などから判明している。こうした点も踏まえ、今後の普及策と装着率の推移を見ながら、装着率85%に達した段階で義務化の要否について検討する。