パワーエックスの急速充電器「ハイパーチャージャー」

 電気自動車(EV)用充電器を手掛けるパワーエックス(伊藤正裕社長、東京都港区)は年内にも、自社の充電サービス会員が利用可能な急速充電器を現状の約7倍となる100カ所に増やす。同社は国内最大級の出力150㌔㍗の充電器を取り扱っている。自前での充電器設置に加え、インポーターなどにも設備を供給しているが、自社アプリが使えるものは全国15カ所にとどまっていた。今後、新規設置のほか、充電器の供給先との交渉を進めて相互利用ができる充電器を拡大する。充電器の利用者を増やすことで、設置事業者の投資負担の早期回収を後押しする狙いだ。

 同社はEVの品ぞろえで、先行している輸入車勢に充電器の導入提案を強化している。すでに、ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、長谷川正敏社長、東京都港区)の系列ディーラーで、パワーエックスが協力した充電設備の導入が決まっている。ここでは、同社の自社アプリも使用可能となっている。同社では今後、充電インフラの導入で連携する他ブランドとの交渉も進めていく計画だ。

 また、充電器の整備で協定を結んでいる「道の駅」でも、自社アプリが利用可能な充電器の導入を進める。同社と全国道の駅連絡会(石井裕会長)は2024年度中に12カ所の道の駅に、急速充電器を設置する方針。運転中に訪れやすいポイントに、ニーズの高い急速充電器を設けていくことで、自社の充電サービス会員にとって利便性の高いネットワーク構築に取り組む。

 一般的な急速充電器は導入コストが数千万円かかることも珍しくなく、設置する施設側にも高圧電力に耐えられる設備導入が求められる。同社が手掛ける急速充電器「ハイパーチャージャー」も本体だけで1千万円を超すとみられるが、蓄電池を搭載することで高圧受電設備が不要となるなどの特徴がある。こうした利点も設置事業者に訴え、導入拡大を目指す考えだ。