損害保険大手4社が法人向け共同保険の保険料を事前調整していた問題で、独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたる価格調整(カルテル)を結んでいたとして公正取引委員会が「排除措置命令」を出す方針を固めた。4社に対して4日までに「意見聴取通知書」を出して処分案を示した。4社から反論や意見を聞いた上で、正式に処分する。
4社は東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険。
今回対象になったのは2022年12月の東急グループ向けと、同年5月の仙台空港の運営会社「仙台国際空港」向け。東急向けは大手4社が、仙台空港向けは東京海上、三井住友、損保ジャパンの3社が保険料を事前に調整した疑い。ただ、関係者によると、この2件では「課徴金」は発生しないという。
また、公取委はこの2件とは別に、大手損保4社の6つのカルテル疑惑案件(企業、法人、自治体)も調べている。「課徴金」についても未定という。
これらの件について4社は、23年12月に金融庁から保険業法に基づいて行政処分を受けており、経営トップが交代した損保もあった。独禁法に基づいて公取委がどう判断するかが注目されていた。