「課題はあるが全力で取り組む」と語る小池社長(左)と東会長

 先端半導体の量産を目指すラピダス(東京都千代田区)は、経済産業省による追加の支援決定を受けて2日、都内で会見した。小池淳義社長と東哲郎会長は、半導体製造プロセスの後工程を開発する意義を強調したほか、自動車用先端SoC(システム・オン・チップ)技術研究組合(ASRA、山本圭司理事長)との連携にも意欲を示した。

 経産省からの追加支援をもとに、複数のチップを1チップのように機能させる「チップレット」や、チップを3次元(3D)につなげる「3Dパッケージング」といった技術の開発に取り組む。従来から連携する米IBMや、ベルギーの研究機関imec(アイメック)に加えて、新たに独フラウンフォーハー研究機構や、シンガポール科学技術研究庁のマイクロエレクトロニクス研究所(IME)との連携も発表した。

 小池社長は会見で、IBMへの技術者派遣を増員する方針を説明。2㌨㍍級(㌨は10億分の1㍍)の技術習得や開発が順調とした上で、開発サイクルについて「ライバルに比べて2倍以上の速さでできる」と語った。同社は汎用品ではなく、車載や通信など顧客の要望に特化した人工知能(AI)半導体など先端品の開発を掲げる。

 後工程も含めて手がけることで、TSMCやインテルなどとの差別化を打ち出す形だが、事業の立ち上げには顧客の開拓がカギを握る。トヨタ自動車などが設立したASRAとの連携の可能性について、小池社長は「オートモーティブは非常に重要なアプリケーション。ASRAは魅力的な活動だ」と語った。また、ラピダスと連携する技術組合「最先端半導体技術センター」(LSTC)の理事長でもある東氏は「LSTCとしても広範に検討したい」と連携に意欲を示した。

 出資や生産での協力といった他社との資本・業務提携の可能性についても、小池社長は「現在検討中で、出資者や経済産業省を含めて、総合的に判断する」とした。今後、生産体制の構築を本格化させる中で、新たなパートナーシップを組む可能性もありそうだ。