「日本の半導体の底上げに貢献したい」と話す山本圭司理事長(中央)

 トヨタ自動車やホンダ、ルネサスエレクトロニクスなどが出資して設立した自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA、山本圭司理事長)は29日、自動車向けに開発する先端SoC(システム・オン・チップ)チップレットの研究開発が国の補助金の支給対象に選定されたと発表した。ASRAは、次世代自動車に適用できるチップレット技術を確立して2030年以降に市場投入する自動車への適用を目指す。また、スズキと日立アステモが新たに出資したことも明らかにした。

 ASRAが推進する次世代車向けチップレットに関する研究開発が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「先端半導体製造技術の開発」の委託先に採択された。24年度は補助金10億円が支給される。山本理事長は「自動車業界の知恵を集めて設計力を強化し、日本の半導体の底上げに貢献したい」と語った。

 チップレットは、半導体チップを小分けにして1パッケージに接続する技術で、歩留まり改善によるコストダウンや小型化が図れる。すでにデータセンターなどで採用が進んでいるが、ASRAは使用環境がより過酷な車載向けチップレット技術を開発する。

 自動車向けに機能安全や熱・ノイズ・振動への耐久性、リアルタイム処理などの課題に対応するチップレットの要素技術を確立する。ASRAに参画する自動車メーカーなどは、この技術をベースにした先端SoCチップレットを、30年以降の自動車に適用することを目指す。

 ASRAでは「車両システムアーキテクチャ」「SoCアーキテクチャ」など3つのワーキンググループを設置した。まず出資企業のエンジニア、総勢130人が研究開発を進める。今年度中に要件や目標値を設定、26年度と27年度にチップレット技術を採用した自動車に適用できるSoCの大規模試作を実施する。

 ASRAには、国内の自動車メーカーや電装系部品メーカー、半導体メーカーなどが参画している。