国内のRVブームをけん引した(19年発売のパジェロ・ファイナルエディション)

 三菱自動車は、早ければ2026年度にもラダーフレーム構造の本格SUVを日本で発売する。海外生産車を輸入する見通し。車名は正式に決まっていないが、過去にRVブームをけん引した「パジェロ」が有力とみられる。パジェロは19年に国内向けの生産を終了しており、復活すれば約7年ぶりだ。SUV人気が続く中、三菱車の技術力を象徴する新型車を投入し、ブランドイメージや台当たり収益の向上を目指していく。

 このほど開いた販売会社向けの会議でモックアップとCG画像を披露し、26年度以降に国内で導入する方針を伝えた。2月に国内で発売した「トライトン」と共通のプラットフォームを用いているようだ。車名やパワートレイン、価格帯などの詳細は示していないが、事実上のパジェロ後継車になりそう。

 パジェロは三菱自が1982年に発売したSUV。90年代に販売を大きく伸ばし、国内のRVブームをけん引した。オフロード車として「パリ・ダカール」ラリーも制覇した本格的な性能を持つ。

 ただ、日本では競合するSUVの増加などで販売がしだいに減り、18年の国内販売は750台余りにとどまった。経営悪化で構造改革を迫られた三菱自がパジェロ製造(岐阜県坂祝町)の閉鎖を決めたこともあり、19年8月に国内仕様の生産を終了した。ただ、その後も販売会社やユーザーから復活を求める声が出ていた。

 その後、三菱自の業績が回復したことや、トライトンの日本での出足が好調なことなどを踏まえ、新型車の投入を決めた。トライトンは3月5日までに累計で約1700台の受注を得た。このうち82%は新規顧客といい、顧客層の拡大につながっている。

 三菱自は、本格SUVの投入を皮切りに「デリカD:5」や「アウトランダー」も全面改良する。今年から来年にかけては目立った新型車の投入予定がないが、一部改良などで商品力を維持した上で、26年度以降の新車ラッシュをにらんだ店舗改装などの投資を販売会社に求めていく。製販で足並みをそろえ、国内販売を増やしていく考えだ。