先週初めに指名委員会の橋本孝之社外取締役から「(次期社長を)頼むよ」と声をかけられたばかり。「少なからずびっくりした」と振り返りつつ「私なりに考えてきたこともあって承諾した。2024年の秋口には改めて当社のビジョンや戦略の方針を示したい」と語った。

 石化事業を中心に経営企画などにも携わってきた。これまでの業務では「家業として挑むこと」「周りの仲間を大切にすること」を心がけてきたという。「従業員目線を大切にして、できるだけ長く、楽しく健康に働けるような社内環境にしていきたい」と抱負を語る。毎月1回はどこかの事業所を訪ね、従業員と対話してきた。この活動も続ける考えだ。

 一方、社外コミュニケーションに石化業界で蓄積した経験や人脈が生きる。「日本の化学産業は川上から川下へと非常に複雑に絡み合っている。丁寧に会話を重ねていきたい。どの化学メーカーもよく知った優秀な方がトップに立っている。率直な意見交換を重ねていきたい」と意欲をみせる。

 橋本社外取締役は「まず『エンパシー』、共感力が非常に強い。自らがやりたいことを発信して社員の力をまとめて進む力。そして『パッション』。これは非常に熱いものがある。最後は『フットワーク』だ。非常に身軽でいろいろな現場に出向いている」と筑本氏を評価する。

 趣味は学生時代から続けている水球。「各地のお神輿(みこし)を担ぐのも楽しみの一つ」と笑顔を見せた。

 

〈プロフィル〉ちくもと・まなぶ 1988年4月三菱化成工業(現三菱ケミカル)入社。2013年2月三菱化学(同)エムシーシーピーティーエーインディア社取締役社長、17年4月三菱ケミカル理事役石化部門基礎化学品本部長、18年4月三菱ケミカルホールディングス(現三菱ケミカルグループ)執行役員経営戦略部門素材戦略室長、23年4月三菱ケミカルグループ執行役エグゼクティブバイスプレジデントベーシックマテリアルズ所管などを経て、24年4月に三菱ケミカルグループ社長に就任予定。1964年6月生まれ、59歳。広島県出身。

(梅田 大希)