主にばね製品を手がけるニッパツメキシコ

 ニッパツは、メキシコにモーターコア専用の生産工場を新設する。来年に着工し、2027年以降の量産開始を目指す。米国で生産台数が増える電気自動車(EV)向けに供給する考え。同社は30年度にモーターコア事業の売上高を300億円に増やす計画だ。茅本隆司社長は「(将来的に)1千億円規模にしなければいけない」と事業拡大に意欲を示し、今後も増産投資を視野に入れる。

 モーターコアは、モーターの構成部品であるステーター(固定子)やローター(回転子)の鉄心部分を指す。薄い電磁鋼板を積層してつくる。EV市場の拡大に伴い、モーターコア需要も伸びると見込まれる。同社は現在、日本、中国、メキシコの3拠点でモーターコアを生産している。このうちメキシコでは、主にばね製品を手がける「ニッパツメキシコ」の工場の一部でモーターコアを生産しているが、今後の需要拡大をにらみ、モーターコア専用工場の新設を決めた。24年には工場の建設を始め、受注状況を踏まえ、27年以降をめどに量産体制を構築する。

 生産能力は非公表だが、新設するメキシコの拠点では「(モーターコアを生産する)現在の厚木工場(神奈川県愛川町)と同規模の年産能力をまずは目指す」(茅本社長)考えだ。厚木工場では、約50億円を投じた新生産棟が10月にも竣工する予定で、最大年産能力は現行の2倍ほどになる見込み。

 厚木とメキシコの生産増強などで、モーターコア事業の売上高は足元の80億から300億~400億円規模になる見通し。30年度の目標を前倒しで達成し、1千億円の大台を目指すことになる。