COSTALのバスパー(導体棒)モジュール

 韓国の自動車部品メーカーが電気自動車(EV)向け部品で日本企業への売り込みを強めている。コスト競争力に加え、母国や中国の電池大手との協業技術も生かす。主取引先のヒョンデなども電動化対応を急ぐが、中国勢との競争に勝てる保証はない。共倒れは避けようと「最新技術を主取引先に優先供給する」という商慣行を破り、日本勢への提案に動いている。

 今月上旬、名古屋市内で開かれた「韓国次世代モビリティ技術展」には日本企業との商機を求めて多くの韓国部品メーカーが出展した。エンジンの冷却部品などを手がけるインジコントロールズは、電池回りの冷却システムを展示した。LG電池などとの協業で培った技術力を強みとする。「まずは日系部品メーカーが進出していない地域で(日本の自動車メーカーとの)取引を増やし、シェアを高めたい」と担当者は意気込む。電動車への搭載を想定するフラッシュドアハンドルを展示したサンボモータースの担当者も「以前はヒョンデだったが、今は三菱自動車など日系メーカーをベンチマークしている」と明かす。

 CASTMANは、EVの熱マネジメント用に銅ダイカスト技術を提案した。EVではパワー半導体や電池、モーターなどを冷やす必要があるが「アルミダイカストでは間に合わず、(半導体などが)ショートしてしまう可能性がある」(担当者)と言う。銅はアルミと比べて熱伝導率が高いが、独特の加工技術が必要だ。「銅のダイカスト製品を扱う企業は日本に少ない」とみて売り込みを強化する。

 韓国の部品メーカーが日本で攻勢を強める背景には、電動車シフトで「韓国内での自動車産業構造に安住していられない」という危機感もある。マークラインズによると、韓国市場での新車販売台数(昨年)の5割をヒョンデ、4割を起亜が握っており、事実上の2強状態だ。韓国貿易センターの貝崎浩史シニアアドバイザーは「中国企業の台頭で「(ヒョンデなどの)勢いに陰りが見えてきており、生き残るために日系メーカーに目を向ける部品メーカーが増えてきた」と解説する。

 モーターコアを手がけるKsLは「(日系メーカーと比べて)2~3割はコストを抑えて提案している」と言う。日本に生産拠点を持つ韓国部品メーカーは少ないが「(自国の生産工場から)日本に出荷するまでのコストは10万円以下」(EV用バスパーなどを手がけるCOSTAL関係者)とPRに余念がない。

 「日本の完成車メーカーは、技術などの機密保持の点から、新しい口座(取引先)を増やすことに消極的だった。EV化でそれが崩れてきており、ヒョンデ向けなどで培った技術力を生かせると感じている韓国の部品メーカーが増えてきた」(貝崎シニアアドバイザー)。電動車シフトを契機に、韓国勢の売り込みが激しくなりそうだ。