ホンダは21日、中古車の新たなオンライン販売を始めたと発表した。同社の公式中古車サイトで、車両の選定から見積もりの確認、購入までの各種手続きを来店せずに済ませられる。納車時は来店のほか、自宅までの陸送を選ぶことも可能だ。中古車販売の利便性を高め、若年層などの新規顧客を開拓する。
公式中古車サイトには同日時点で8165台が掲載されている。このうちオンライン販売対象は5215台だ。今年度中に総掲載台数を2万台まで増やし、オンライン販売対象車は5千台規模の掲載を維持する。今年度の中古車小売り目標台数は18万台で、このうちオンライン販売は1千台規模を目指す。日本統括部販売部中古車事業課の笠井哲子課長は「小売り台数の10%、20%程度までオンライン販売を増やしていきたい」と語った。
ホンダの認定中古車を扱う全国のホンダカーズで販売する車両が対象となる。車両を選び、見積もりなどを確認したのちにサイト上で注文する。住民票や印鑑証明書などの書類は郵送でやり取りする。店舗の展示車両とオンライン対象車の値付けは同じだが、陸送費は別途かかる。納車後の点検・整備は顧客が近隣の店舗などから選ぶことができる。
購入車両は、購入から7日以内で、走行距離は500キロメートル以内、内外装に新たな傷や劣化などがないなどウェブサイトに記載する10項目を満たせば返品も可能とするなど、オンライン購入に対する顧客の不安を払しょくするようにした。
ホンダは、20年に共有在庫システムを使って遠方の店舗の在庫車を購入できるサービス「お取り寄せ車両」を始めたが、顧客の居住地に近い販売店を経由して販売していたため出品販社の利益が目減りし、サイトへの掲載車両数が思うように増えなかった。
今回は、顧客近隣の店舗を通さずに販売して販社の利益が目減りしないようにする一方、メンテナンスパックの活用などで顧客近隣拠点の販社が整備収益を得られる仕組みとし、ホンダグループ全体での中古車収益の囲い込みや顧客の流出防止につなげる。