レクサスのオフロード車に採用された再生樹脂部品

 豊田合成は、廃車から回収した樹脂部品をもとにした新車向け部品の量産を2024年内にも始める方針を明らかにした。廃棄部品を再び自動車部品に用いる「水平リサイクル」の一環だ。欧州などのELV(廃自動車)指令や、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)機運の高まりが背景にある。同社は今後も水平リサイクル技術を開発し、自動車部品に用いていく考えだ。

 廃車の外装部品に使われている樹脂を再生し、新車の内装材として用いる。再生樹脂は物性が変化するため、廃車の再生材にバージン材(新品)を半分程度、配合する。これにより耐久性などを確保できるという。

 同社では、再生樹脂にセルロースナノファイバー(CNF)を配合して強度を高める技術も開発している。この技術を使った製品は、トヨタ自動車の高級ブランド、レクサスが手がける試作オフロード車「ROV」のバンパーやボンネットに採用された。CNFは再利用する際に溶解しても強度が落ちにくく、リサイクル率を高めることができるという。

 これまで、バンパーやフロントグリルといった自動車の樹脂部品は、焼却時の熱エネルギーとして活用する「サーマルリサイクル」が一般的だった。一方、資源の有効活用やカーボンニュートラルへの機運が高まる中で、自動車業界でも水平リサイクルへの関心が高まっている。

 タイヤ大手のブリヂストンは廃タイヤからナフサ(粗製ガソリン)やカーボンブラックを生成し、タイヤ生産に用いる技術の実証に入った。東レは本田技術研究所と組み、インテークマニホールド(吸気管)に用いるナイロン樹脂を再生し、再びインマニを成型する技術を27年頃に実用化する計画だ。

 また、欧州委員会は、30年までに新車に占める再生樹脂の利用率を25%以上、このうち廃車由来を25%とする方針を打ち出している。豊田合成としても、廃車部品を素材として再生し、可能な限り自動車に再び用いる「カートゥカー」を目指して研究開発に取り組む考えだ。