樹脂の「水平リサイクル」イメージ

 本田技術研究所と東レは19日、廃車から回収したナイロン樹脂をリサイクルする実証を始めたと発表した。インテークマニホールド(吸気管)に使用した「ナイロン6(PA6)」を亜臨界水を使って分子状の樹脂に戻す技術を開発した。新たに導入する試験設備で実証し、2027年ごろの実用化を目指す。

 廃棄プラスチックを分子状の「モノマー」に戻す際の溶媒として、高温・高圧の水で樹脂への浸透性や溶解力、加水分解力が高い亜臨界水を使用する。モノマー化の工程では酸触媒を溶媒に用いる方法もあるが、亜臨界水を採用することで精製の効率を高めた。モノマーの分離・精製プロセスも見直し、従来製法と比べて5分の1の時間で製造できるという。

 実証期間は26年3月まで。期間中には、インマニのほか、自動車以外の用途も探る。

 自動車用ナイロン樹脂の処理は、技術的な課題もあって従来は焼却の際に発生する熱エネルギーとしての利用にとどまっていた。廃プラスチックが社会問題化する中、両社は樹脂を再び樹脂として使う「水平リサイクル」の技術確立を急ぐ。