鈴木俊一財務相兼金融担当相

 鈴木俊一財務相兼金融担当相は5日、損害保険ジャパンとビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)に対して保険業法に基づく立ち入り検査の実施を通告したことを明らかにした。通告は4日付。この日を起点に10日から14日以内をめどに立ち入り検査を行う。損保ジャパンについては「経営責任が問われる可能性がある」とした。

 ビッグモーターは自動車保険金の不正請求を認め、損保ジャパンは同社の不正を知っていたにも関わらず取引を再開したことなどが問題視されている。両社は金融庁の報告徴求命令を受けて8月31日までに同庁に経緯を報告した。

 鈴木金融担当相は、損保ジャパンについては「安易な損害調査」を導入した問題点に触れた。同社は一定の基準を満たした工場について「簡易検査」という制度を導入し、ビッグモーターへ2019年春に適用した。「不正請求の温床になったのでは」(損保関係者)との指摘もある。

 これまで鈴木金融担当相は、37人の出向者の役割や、損保ジャパンだけがビッグモーターとの取引を再開した経緯などを問題視していた。取引再開では、白川儀一社長が不正を認識しながら再開を促す発言を役員会でしていたことが判明している。

 鈴木金融担当相は「(報告で)一定の事実関係が明らかになったが、親会社のSOMPOホールディングスの調査委員会が調査中で解明が不十分な部分がある」として立ち入り検査を決めたという。

 ビッグモーターについては「保険募集についての基本的な取り組みに問題が認められた。なぜそのような状況が放置されていたのか。管理体制などの課題に踏み込んだ上で根本原因を特定したい」と語った。同社では社員による架空の保険契約の事例も複数みつかっており、これらの問題を指しているとみられる。