東京海上日動火災保険は30日、2024年1月から自動車保険の保険料を値上げすることを明らかにした。コロナ禍の収束で交通量が増えて保険金支払い額が増加しているほか、物価高騰で補修部品代や人件費なども上がっているため。値上げは20年1月以来。同社は23年の投資家向け説明会などで値上げの方針を示唆していた。

 損保大手では損害保険ジャパンが自動車保険の値上げを見送る方針を8月28日に明らかにしていた。ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の自動車保険金の不正請求問題で、同社と深い関係にあった損保ジャパンは、金融庁から保険業法に基づく報告徴求命令を受けていた。同社は保険契約者から理解を得られないと判断した。ビッグモーターとの関係では損保ジャパンと東京海上日動を含む損保7社も、報告徴求命令を受けている。

 この件とは別に大手損保4社は、大手企業向けの共同保険をめぐり「事前価格調整」を実施していたとして報告徴求命令が出されている。こうした不祥事が相次いでいるため、自動車保険の値上げは厳しいのではないかとみられていた。